関連病院の実績
北海道大学病院とこれらの施設の手術件数を示します。2021年には肺癌手術件数1,431例、総手術件数2,730例で、記録を更新しました。一昨年よりのべ手術件数が2,500を超え増加し続けています。この関連施設数と手術症例数は全国一の規模であり、北海道の呼吸器外科専門医育成の原動力となっています。
私たちは年一回このように全施設の手術件数を集計して評価をしています。手術の対象となる疾患の比率を見てみますと、肺がんは呼吸器外科手術総数の約半数(53%)を占め最も多く、自然気胸(13%)、転移性肺腫瘍(10%)が続いています。
対象疾患で最も多い肺がんについてみると、組織型では腺癌が69%,扁平上皮癌23%です。全国では扁平上皮癌の比率が減少し、腺癌の比率が増加しています。全国的な比率は腺癌71%,扁平上皮癌18%(2018年の胸部外科学会学術調査結果)ですので、北海道では扁平上皮癌の比率が明らかに高いことがわかります。扁平上皮癌は喫煙が原因でおこる肺がんの代表であり、北海道は喫煙率が全国都道府県で最も高いことが原因に他ありません。
肺がん手術の標準手術である肺葉切除が72%に対して、最近では縮小手術である肺部分切除(16%)や区域切除(12%)が少しずつ増加しています。これは、検診で発見される小型の肺がんが増えてきたことによります(図-5)。特筆すべきは、私たちの関連施設ではロボット支援下胸腔鏡下手術を早くから導入した施設が数多くあり、その比率が急増している点です。
最後に、手術の対象となる年齢の推移を示します。比較的若い60歳代が減少し,70-80歳以上の高齢者の比率は増加しています。社会の高齢化に伴い、胸腔鏡やロボットなどの低侵襲手術、縮小手術などの高齢者に優しい治療が有効となります。
北海道大学病院や私たちの関連病院では、低侵襲でより高度な技術で対応し、それは常に進化しています。