北海道大学病院が肺移植実施施設として認定されました

お知らせ2025.04.07

~北海道で初となる肺移植医療の拠点が誕生~

北海道大学病院は、2025年3月26日に、肺移植関連学会協議会および移植関係学会合同委員会より、全国で12番目、北海道で初の肺移植実施施設として正式に認定されました。

これまで、北海道内で肺移植を希望される患者さんは、すべて本州の医療機関で評価や待機登録、実際の移植手術を受ける必要があり、長距離の移動や転居を伴う負担は、患者さんおよびご家族にとって大きな障壁となっていました。

今回の認定により、北海道内で肺移植に関わる全ての医療が完結可能となり、住み慣れた地元で安心して治療を受けられる環境が整いました。


背景

北海道大学病院呼吸器外科では、従来より肺移植患者の術前・術後管理に積極的に取り組んでまいりました。特に2022年、呼吸器外科が独立診療科として設置され、加藤達哉教授が着任して以降、肺移植医療の本格的な体制整備が始まりました。加藤教授は、カナダ・トロント大学において多数の肺移植に携わってきた経験を有し、肺移植医療に精通したスタッフ陣とともに、高度な専門医療体制を構築しています。

また、医療スタッフの国内外での研修や施設見学、移植に必要な機器・トレーニング環境の整備においては、2023年に実施したクラウドファンディングを通じ、多くの皆様から温かいご支援をいただきました。地域の皆様の協力が、今回の認定を実現へと大きく後押しいたしました。


成果

今回の認定により、北海道大学病院は、以下の医療を提供することが可能となりました:

  • 肺移植の適応評価
  • 日本臓器移植ネットワークへ(JOT)の待機登録
  • 肺移植手術の実施
  • 術後の長期フォローアップ

すでに、肺移植が必要とされる患者さんの評価入院や待機登録に向けた準備が進行中です。多職種による肺移植診療チームが結成され、診療科の垣根を超えた連携体制のもと、安全かつ高水準な医療提供を目指します。


今後の展望

まずは脳死肺移植から段階的に開始し、将来的には生体肺移植を含む多様な肺移植医療の提供も視野に入れています。国内での研鑽に加え、海外施設との連携もさらに深めながら、より高度な医療体制の構築を進めてまいります。

また、道内外の医療機関とのネットワークを強化し、円滑な患者紹介・逆紹介体制を整備するとともに、地域医療従事者への教育・啓発活動にも注力していきます。

広大な北海道において、肺移植を必要とするすべての患者さんが、質の高い医療を安心して受けられる社会の実現に向け、私たちは今後も歩みを止めることなく取り組んでまいります。